リウマチの症状・原因・治療・対策・予防について
リウマチという言葉は、ギリシア語のrheuma(流れる)に由来しています。
ローマ時代から、悪い液(悪液質)が脳から体の方々に流れていき、「痛み」と「こわばり」をおこすと考えられでいたのです。
現在でも、筋肉、関節、骨、腱、靭帯などの運動器の「痛み」と「こわばり」をおこす病気を総称してリウマチと言います。
したがって、リウマチという病名は一つの病気ではなく、いろいろのものを含んでいます。
リウマチの患者さんは非常に多く、その中心である慢性関節リウマチだけで約50万人もおり、これに他のリウマチ(以下に詳細を記載)をいれますと、その10倍以上もの患者さんがいると言われています
このように、リウマチに含まれ、互いによく似た病気はたくさんありますが、病気の重さ、なおりにくさなどから、やはり慢性関節リウマチがリウマチを代表する病気だといえます。
ところで、世間ではリウマチについて、昔からつぎのような誤った知識が根づよく残っています。
@リウマチなど大した病気ではない
Aリウマチはたいてい老人の病気だ
Bリウマチには打つ手がない
などですが、これらはとんでもない間違った知識です。
【リウマチはどうしておきる?】
リウマチは300人に1人くらいしかおきない病気ですが、1卵性の双生児では片方が発症す るともう片方も発症する確率は30%位あります。
このことから遺伝が関係していることが わかりますが、100%ではありませんから、それがすべてではありません。
皆さん、免疫という言葉をしっていますか?
「はしか」や「おたふくかぜ」は1度かかると2度はかかりません。
これは体の中で、これらのウィルスに対しての免疫ができたため です。
本来、免疫は外からの異物(特に病原微生物)に対して働くものですが、自分の体の構成成分を攻撃してしまう場合があり自己免疫と呼ばれています。
人間が生まれながら持っているものに対しては普通免疫反応は起こりません。
しかし眼球や精子の様に免疫システムと触れていないものに対しては、傷ついたりした時に、免疫反応がおこってしまいます。
片方の目が傷つくともう一方の目も炎症を起こすのはよい例です。(交感性眼炎)。
リウマチ熱という病気がありますが、これは扁桃脈炎後に心筋炎等が起こるのですがこれは、β-溶連菌というバイ菌の成分に心筋の成分の1つがよく似ているために間違えて攻撃されてしまうために起こります。
EBウイルスというウイルスに感染すると体の免疫が亢進するため、自分の身体の成分に対して、反応しやすくなります。
関節滑膜に対しては本来、免疫反応がおこらないはずなのですが、EBウィルスに感染するとその特異な構造のため、遺伝的に素因のある人は免疫反応が起きてしまうのです。
EBウィルスそのものが滑膜に感染しているという報告もあります。
その他のウィルスや細菌の関与を示唆する報告もあるいます。
リウマチは一つの原因で起こるのではなく、食事、ホルモン、日光照射等の環境因子も関係する多因子疾患と考えられていますが詳細は不明です。
この病気は人からうつることはありません。
【慢性関節リウマチとは?】
手・足のあちこちの関節が腫れて、痛みとこわばりを生じ、病状が良くなったり、悪くなったりしながら、次第に症状が固定したり、さらに多くの関節に左右対称的にひろがってゆきます。
このように、主な症状は関節炎ですが、発熱や体力の消耗により、体重が減少したり、あるいは貧血や精神神経症状などの全身的な症状をおこすこともあります。
慢性関節リウマチは、男性よりも女性に圧倒的に多くみられ、男性の約4倍ないし7〜8倍といわれています。
女性でも、特に20〜30才代と50才前後の更年期によくおこります。
【慢性関節リウマチの原因】
慢性関節リウマチの原因には、いろいろな説があります。
はっきりした原因はまだわかっていませんが、今一番有力な学説は、自己免疫説です。
しかし、この説だけではまだ原因を説明しきれませんが、つぎのように考えられています。
慢性関節リウマチの患者さんは、自律神経失調やホルモン失調、あるいは冷え性とか風邪をひきやすいとかいった体質の人に多くみられます。
こういった素因のある人に、いくつかの外因、たとえば過労、睡眠不足、栄養失調、ケガ、冷えと湿気など、そしてさらに細菌の感染が作用して、体の中の蛋白体が変化し、それが抗原となって、免疫反応をおこすと考えられます。
その結果、主に関節、とくにはじめは関節滑膜(間接を包む膜)に炎症がおこり、それを重ねていくうちに慢性関節リウマチになるという考え方です。
慢性関節リウマチが、関節だけの病気ではなく、全身にいろいろな症状をひきおこすのは、このような病気のなりたちのためです。
【リウマチの治療】
このように慢性関節リウマチの原因はまだ確立されていません。
したがって、主な治療法はすべて、おこった症状を抑えたり軽くしたりする対症的なもので、まだ完全な根本的な治療法はみつかっていません。
“Once a rheumatoid,always a rheumatoid”といって、「一度本格的な慢性関節リウマチになると、それからのがれることができない」という諺は、残念ながら現在でも生きています。
しかしそうだからといって少しも悲観することはありません。
リウマチの治療は生涯治療と考え、うまく症状をコントロールして、日常生活や軽い仕事なら十分にできる状態にもっていくことができるからです。
これが治療のコツであるといえます。
また発症機転(なりたち)が次第に明らかになりつつあるので、原因療法につながる治痺薬も次第に開発されるようになり、治療についても明るくなってきているそうですよ。
【慢性間接リウマチの治療方針】
●基礎療法
すべての患者さんに全経過を通じて必要な心がけです。
@安静
炎症症状のつよいときには、全身と局所の関節の適度な身体的安静をとるようにします。
また、家族関係や経済問題などのゴタゴタをさけ、ストレスを除き、精神的にも安定した状態で治療がうけられるように心がけてください。
A食事療法
病気そのもののためにも、いろいろの薬をのむためにも、食欲がない人が多いものです。
つとめてバランスのとれた消化のよい食餌を十分にとり、体力を養うことが必要です。
それには、牛乳、卵、魚、肉、野菜、果物などを多くとるようにします。
B理学療法
一般に痛みのため、過剰な安静になりがちです。
全くの安静のみでは、ついには関節の変形、強直にまで進行する危険があります。
これを防止するには、できるだけ早い時期から関節の適度の運動を開始するようにします。
これには、適当な保温(発熱期や急性期はさける)をして痛みを和らげた後、マッサージをし(自分でやってもよい)、また手足の関節の運動をして、筋肉、関節などの機能を維持するとともに、整容、食事、衣服の着脱、歩行、レース編みなどの日常生活活動の訓練を、症状に応じて徐々にとり入れていくような努力が必要です。
痛いからといって、何もしないことは決してよいことではありません。
D慢性感染巣の除去
発病に関係のありそうな病巣一慢性扁桃炎、歯槽膿漏、副鼻腔炎、慢性中耳炎、慢性虫垂炎、女性性器附属器炎など−があれば早く治療してください。
E薬物療法
慢性関節リウマチでは、いろいろの関節に炎症をおこしていますから、抗炎症・鎮痛剤で、炎症をとり除くことが、まず治療の基礎となります。
薬の種類は数多くありますが、病状にあわせて正しく使うことが大切です。
いずれも長期にわたる服用が必要ですから、かかりつけの先生の指示をよく守ってください(以下参照)
また、時々は、かかりつけの先生を通じて、リウマチの専門医に相談してもらうことも心がけましよう。
つまり家庭医とリウマチ専門医の連係が大切です。
【温泉療法とリハビリテーション】
手術後の機能回復を目的として行なわれるだけでなく、基礎痺法の1つとしても行なわれます。
@温泉療法
多くの慢性関節リウマチには、温泉療法が有効です。
温泉の化学成分、温熱・浮力・水圧などの物理的作用、転地による気分転換などが重なり、薬などでは得られない効果があります。
温泉の泉質、温度、療養期間などについては、温泉療養にくわしい医師(現在、温泉療法指導医が日本全国に約150名認定されております)とよく相談し、また療養生活の全般にわたって指示を受けることです。
療養中は摂生に努め、規則正しい生活をするようにしましょう。
一般には泉温は少し低温の38〜40℃ぐらい、20〜30分間ゆっくりと入浴するのがよいでしょう。
症状が固定し、刺激療法がよいときには、日本人のすきな43℃の高温間歇入浴も用いられることもあります。
初めは1日1〜2回よりはじめ、徐々に馴らして、1日最高3回までとし、2〜5週間を1クールとします。
入浴後は、湯ぎめをしないようゆっくりと休養し、マッサージやリウマチ体操などをすると効果は倍加されます。
一般に急性期で熱があったり、血沈がとくに悪い時などは、ひかえた方がよいとされますが、最近では薬によるコントロールがよく行なわれるようになったので、かなり広く応用され、よい結果が期待できます。
Aリハビリテーション
関節の機能を保ち、これを増強し、また機能障害の進行を防止するための、理学療法と訓練で、広く解釈すると、リウマチのための障害をとり除いて、社会生活にもどるためのいろいろの処置を含みます。
リハビリテーションは単に後療法としての意味だけではなく、りウマチの基礎痺法の1つとしての意味をもっています。
この中には、いろいろの理学療法(運動療法、機能回復訓練を含む)、作業療法、補助具と装具、心理的指導、ケースワーク、職業訓練など広い範囲の治療と処置が含まれますが、そのためにも、医師のたてた計画に従い、リハビリテーションに専念してください。
●選択的療法
基礎療法で不十分と思われた場合、それぞれの必要に応じて行なう治療です。
@ステロイドの関節腔内注入
Aいろいろな外料的手術療法、人工関節などがありますが、患者さんの症状により、また医師の適切な判断により行なわれます。
【慢性関節リウマチの大切な早期発見・早期治療】
慢性関節リウマチでは、早期発見と早期治療がよい結果をもたらしますので、早朝、指などの関節が痛んで少しこわばっている、あるいはぎこちないといった症状「朝のこわばり」に気づくなど、疑いがあれば、できるだけ早く、かかりつけの先生に相談して、リウマチ専門医に診てもらうようにしましょう。
慢性関節リウマチの症状と経過、および患者さんの体質には個人差がありますから、他の患者さんの治療法にまどわされることなく、病気を克服しようとする、積極的な前向きの姿勢で治療にのぞんでください。
慢性関節リウマチには特異的な臨床症状や検査所見はありません。
したがって、診断は比較的特長的な症状や所見を組み合わせた分類基準に基づいて行われます。
下記の7項目中、4項目が該当すれば関節リウマチと診断されます。1〜7は、1987年改定
ただし、1)から(4)までは6週間以上持続することが条件です。
A3個所以上の関節の腫れ
B手の関節(手関節、中手指節関節、近位指節関節)の腫れ
C対称性の関節の腫れ
D手のエックス線写真の異常所見
E皮下結節
F血液検査でリウマチ反応が陽性
【リウマチの診断】
リウマチの特長は、多くの関節に痛みや腫れが起きることです。
出てくる横は、指のつけね、指のまん中の関節、手首、足首、足の指のつけね、膝が多く見られます。
痛みだけでなく腫れがあるもの、両側対称性にみられるもの、朝のこわばりがみられるもの、リウマチ反応陽性の場合は、より可能性が高くなります。
リウマチ反応は発症3ヶ月で30%、半年で50%、全経過を通じて80%とといわれています
リウマチ反応陰性のリウマチも20%程度ありますので、陰性でも否定できません。
また、高齢者(約1割)や肝疾患(約4割)では高頻度で陽性になりますから、陽性でもリウマチとはいえません。
関節の腫れは通常6週間以上続きます。
レントゲンでは初期では異常を認めないことが多く、臨床症状が重要です。
慢性関節リウマチの65%程度が早期に診断し、適切な抗リウマチ薬を投与することにより、機能障害を残さずに完成寛解するか、普段リウマチであることを忘れていられる程度にコントロールが可能とされています。
早期とは、通常発病1-2年以内の確定診断が下せるが、まだ非可逆的変化がないか、あっても軽微な時期をいいます。
関節リウマチの破壊は発病後2年以内に急速に進行するとされているので、半年以内に治療開始したほうが良いと考えられています。
しかし関節痛のある慢性関節リウマチの患者さん全員に抗リウマチ薬を用いるわけではないそうです。
抗リウマチ薬には副作用が出る場合があるからです。
多関節の腫れが続いたり、血液検査で炎症所見(血沈やCRP)が強い場合のみ抗リウマチ薬投与を行います。
診断しにくいのは、25%程度ある、1つの関節しか炎症の起こらない単関節型と、20%程度ある、下肢からはじまるタイプです。
足の指にもリウマチは起こりますので注意が必要です。
単関節型は造影剤を用いたMRI検査を行えば早期でも診断することが可能です。
関節リウマチ以外にも関節が痛くなる病気はたくさんあります。
中年以後の女性では橋本病(甲状腺機能低下症)は頻度の多い疾患です。
関節痛よりは手のしびれ、こわばりのほうが多いですが、最近物忘れが多い、だるい等の症状があれば甲状腺の検査をしてもらってください。
口が渇く、目が乾く等の症状があれば、シューグレン症候群を疑います。
冬、指が白くなったり、味覚が低下したり,夜間のセキ、尿路感染 等愁訴が多いため、神経科に回されていることもしばしばあります。
男性では痛風が多く見られます。
温度の低いところで尿酸塩が析出しますので、通常足の親指に結節ができますが、膝の関節の場合は診断が難しくなります。
痛風発作時、痛み止めを服用することにより尿酸値が下がりますので、検査をしたときは尿酸値が正常の場合もあり、注意が必要です。
この痛みはなにもしなくても数日で軽快するのが特徴です。
リウマチではないかと心配して来院される患者さんで、一番多いのは変形性関節症です。
手指の先端の関節が硬く太くなっている人の大半はこれです。
指のまん中の関節にも同様の所見が見られることもあります。
前者をヘバーデン結節、後者をブシャー結節といいます。
指のつけねの関節には通常見られません。
この関節や手首の関節が腫れているときはリウマチを疑います。
リウマチでも指の先端の関節が腫れることがありますが、かなり進行してからです。
初期にここが腫れることはまずありません。
変形性関節症が手指だけではなく、首の骨や、背骨、膝の関節等にも見られる全身型では、高率(半数という報告もある)に甲状腺疾患が合併しますので注意が必要です。
【食事・運動・日常生活の注意】
慢性関節リウマチの食事の注意につきお話します。
青身魚に多いエイコサペンタエンサンには抗リウマチ作用があるといわれています。
いわし、さば、サンマ、まぐろ、さけ等はとられたほうが良いでしょう。
鳥肉に多いコラーゲンはリウマチにいいという報告があります。
皮の裏に多くついています。
緑黄色野菜も良いとされています。
治療にステロイドホルモンを用いている患者さんは、糖尿病(5mg程度では通常起きない。10mg以上では注意)や高脂血(プレドニン1mgでコレステロールは2mg程度増加する)を併発していることがしばしばあります。
その際はそれに準じた治療が必要になります。
体重が増えると、膝等に負担がかかりますので、太り過ぎないようにして下さい。
シューグレン症候群を併発している患者さんにはさといもがいいという人もいます。
唾液の量を増やす作用があります。
運動は炎症が強い時期でなければ、ゴルフでもテニスでもやってかまいません。
ただ翌日まで関節痛が残るようなら、やり過ぎですのでセーブしてください。
手芸でも絵でもやってよいのです。
やり過ぎて、悪くなる人より、使わなくて悪くなる人のほうがはるかに多いのです。
リウマチ体操を毎日行う習慣をつけてください。
日常生活の注意点として、身体を冷やしすぎないよう気をつけましょう。
夏のタクシーは運転手の真後ろが良いのです。
直接クーラーが当たらないためです。
同じ理由で寝室のクーラーの配置にも気をつけてください。
一番大事なことはあまりくよくよ考えず、楽しく生活するように心がけることではないでしょうか。
楽しいことをしていると痛みが気にならないという経験は皆、あると思います。
落語などを聞いて、よく笑うと免疫反応も炎症所見も良くなることが分かっています。
【慢性関節リウマチの薬物療法】
慢性関節リウマチの薬物療法で最も使用されるのは消炎鎮痛剤(痛み止め)だそうです。
作用は消炎,鎮痛,解熱です。
一日一回服用すればよいものから、3回服用しなければならないものまであります。
1回でよい薬は効果が持続するのですが、血中濃度が高いままになりますから腎臓等には負担がかかります。
高齢者には一般に使いにくい薬です。
痛みの起こる時間が決まっているなら、そのときだけ服用するほうが副作用は起こりにくいのです。
■消炎鎮痛剤
副作用の多い薬剤の部類に入ります
特に連用した場合は胃潰瘍が起きることがしばしばあります。
日本リウマチ学会
の調査によれば、連用している場合、症状がない患者さんでも20%近くに胃十二指腸潰瘍がみつかっています。
効果の最も強いフェニル酢酸系(ボルタレン等)が一番起こしやすいと言われています。
消炎鎮痛剤はシクロオキシゲナーゼという、主に白血球の中にある酵素の活性を阻害することにより、炎症を起こすプロスタグランジンという物質の合成を抑えることで作用を発揮します。
このため、胃の中のプロスタグランジンという物質が減るため、胃の防御作用が弱まるためにおきます。
ですから,胃の中を通らない坐薬でも起きるのです。
潰瘍の副作用を減らすために、吸収後に薬の効果がでる物質に変化するプロドラッグというタイプもあります。
さらに胃潰瘍の副作用を減じるため胃のプロスタグランジンを減らさない新しいタイプの薬(シクロオキシゲナーセ2阻害薬)も出てきています。
この薬は実際に炎症を起こすシクロオキシゲナーセ2のみ抑制し胃や腎臓などにあるシクロオキシゲナーゼ1を抑制しません。
現在、この薬は比較的鎮痛効果が弱いのですが、今後さらに強力なものがでてきます。
消炎鎮痛剤による胃潰瘍は胃の出口にできることが多く、胃に穴があいて初めてわかることも多く注意が必要です。
消炎鎮痛剤には、これ以外にも腎臓の機能を下げる、肝機能を悪くする等の副作用もあります。
副作用の出やすい強い薬の部類に入りますので、痛みのない時は服用しないほうがよいのです。
消炎鎮痛剤は痛みや腫れは抑えますが,血沈やCRPは改善しませんし、骨破壊も抑制しません。
つまり、リウマチの進展を抑える作用はないのです。
関節の腫れが長期間続いたり、血液検査で炎症反応が強いときに使います。
この薬を用いることにより、約3割の患者さんが寛解しています。
寛解に至らなくても関節破壊の進展を遅らせることができます。
現在9種類が使われています。
これらの薬は重篤な副作用がでることがあり慎重に用います。
一番問題になるのは間質性肺炎で、中止しても戻らないだけに注意が必要です。
定期的に胸の写真を撮る必要があります。
尿に蛋白や血液がでる腎症状もよくみられます。
※悪性関節リウマチは、厚生省の特定疾患の一つに指定されています。
治療費の自己負担分が公費で補助されます。
血液中の白血球や赤血球が減る骨髄抑制も稀にしか起きませんが、気がつかないと命にかかわる副作用です。
このほか肝機能障害や胃腸障害はよくみられる副作用です。
副作用ははじめの1か月以内に出現することが多いので、この期間は毎週検査する必要があります。
はじめの3か月間は2週間に一度、半年までは月に一度検査してください。
その後は3か月に一度で大丈夫です。
抗リウマチ薬の特徴として
1)薬の種類により、効く人と効かない人がいる
2)長期間使用していると次第に効果が弱くなる
等があります。
それでは、比較的副作用の少ないものから順にお話しましょう。
肝障害,胃腸障害はどの薬でも出ることがあります。
@アクタリット(オークル、モーバー)
[
有効率も比較的低く、炎症所見の比較的軽い場合や、他の抗リウマチ薬で効果が不十分な時に、併用して用いられます。
副作用として胃腸障害、皮疹がみられることがあります。
重篤な副作用は少ないのですが、それでも発売後半年で3例の再生不良性貧血の報告があり、絶対安全な抗リウマチ薬はないといえます。
A経口金剤(オーラ ノフィン、商品名リドーラ)副作用は比較的少ない
金の注射に比較して、皮疹の副作用が少ないですが、経口薬のため胃腸障害,特に下痢の副作用が多くなります。
効果も注射より弱くなります。
金の副作用はまた後でお話します。
Bサラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN副作用は少ない
多くの抗リウマチ薬は肺と腎臓に対しての副作用がでやすいのですが、この薬では通常起こりません。
非常に稀な副作用ですが、顆粒球減少症といって白血球が減ることがあります。
開始後1週ー3週までにおきことが多く、肺炎,敗血症等の感染症になりやすくなります。
気がつかないまま白血球が減り続けると命にかかわることがあります。
これは検査しないと分かりません。
発熱や皮疹、胃腸障害は出ても自分で分かりますから、比較的問題が少ないのです。
この薬はリウマチ反応陰性例、男性の方が効きやすいという統計があります。
リウマチ反応陰性例,男性例や間質性肺炎、腎症併発例にはまず投与してみていい薬の一つです。
ヨーロッパでは一番使われている抗リウマチ薬だそうです。
Cブシラミン(リマチル)
リウマチ反応陽性の方が効くとされています。
日本で開発された薬で、単剤ではわが国では一番使われている薬です(注射と経口薬を合わせると金が最も使われている。)
1錠50mgと100mgがあり、一日300mgまで使用可能ですが、通常100ないし200mg使用します。
腎障害などの副作用が起きることがあり、尿検査は必須です。
D金の注射(シオゾール)
この注射は古くから行われていますが、いまでもまずはじめに行う治療の一つです。
以前は1回20mg使用していましたが、最近では少量でも効果に差のないことが分かり,2週間に1回10mgを筋肉注射します。
効果が出始めるまで数ヶ月はかかります。
本格的に効いてくるのは半年以上たってからです。
かゆみを伴った皮疹がよくでます。
血尿等の腎機能障害、間質性肺炎などの副作用が出現することもあります。
この薬の特徴は比較的長期間使用できることです。
一般に,抗リウマチ薬は通常早い場合半年,平均1年半位で効果が減弱するのですが,金は数年間使用できることが多いのです(一番効果が持続するのは後述するリウマトレックス)。
ED−ペニシラミン(メタルカプターゼ)
リマチルと構造が似ている薬です。
味覚障害、腎機能障害,間質性肺炎といった副作用があります。
他の膠原病を誘発することがあり、膠原病が疑われる場合は使用しない方がいいでしょう
この薬を服用するとビタミンB6が不足しますので、補充します。
Fbロベンザリット(カルフェニール)
腎障害が比較的多くみられる薬剤です。
リマチルに比べ効果は弱いといえます。
Gリウマトレックス
免疫抑制剤で、成分はメソトレキセート(MTX)と全く同じものです。
MTXの方が値段は安いのですがリウマチに医療保険の適応はありませんので自費扱いになります。
リウマトレックスは値段は高いのですが医療保健の適応があり、万一副作用でなにか起きた時は医療基金から援助されます。
効果は3週間位から出始めます。
リウマチを抑える作用は一番強く、この薬がリウマチに使用されるようになってから手術が大幅に減少しています。
日本では副作用の問題もあり、比較的重い症例に使用されていますが,米国では比較的軽い症例に初めから使われることもあります。
リウマチは発症後数年間に関節の変形を残すことが多く、効果が確実な薬を早い時期から使用した方がよいという考えからです。
骨髄抑制、間質性肺炎は頻度は少なくても重症化すること多く、定期的なチェックが必須です。
この薬は通常、週に1回朝、夕に分け服用します。
Hミゾリビン(ブレデイニン)
免疫抑制剤です。
効果はMTXより弱いですが腎障害が少ないので他の抗リウマチ薬をを使用して副作用が出現した場合には有用です。
この薬がよく効く患者さんもいます。
Iステロイドホルモン
抗リウマチ薬、
通常プレドニゾロンを1錠(5mg)服用します。
ステロイドの消炎鎮痛効果はかなり強く、1錠でも十分効果があります。
毎日服用すると副作用が問題になりますので、冠婚葬祭や旅行の時などに服用してもよいのです。
ステロイドホルモンの副作用が他の薬の副作用と異なるのは、投与量,投与期間に応じてだれにでもでるということでしょう。
骨が脆くなる,感染しやすくなる、血糖が上がる,コレステロールが上がる,精神症状がでる、胃潰瘍が起こりやすくなる等はよく知られています。
毎日半錠くらいであれば、あまり問題になりませんが、1錠であっても3ヶ月以上連用する場合は注意が必要です。
昨年1錠1mgの錠剤もでました。
痛みの程度に応じてなるべく少ない量でご使用ください。
ステロイドホルモンは副作用の問題もあり、リウマチの専門医も極力使用しない方針をとることが多かったのですが、近年リウマチの炎症を強いままにしておくより、ステロイドを用い炎症を抑えたほうが進展を遅くできるといった報告もあり、状況によっては早期から使用する先生も増えてきています。
ステロイドホルモンを服用する時,胃薬,骨を強くする薬,血糖やコレステロールが上がってきたら、それに準じた薬を服用することにより副作用はかなり防げるようになってきました。
リウマチが確実で炎症が強ければ(血沈40mm/h以上かつCRP1.0ng/d以上)、まず抗リウマチ薬、消炎鎮痛剤を服用し、それで抑えられなければステロイドを服用します。
炎症が強くなければ消炎鎮痛剤のみ使用します。
副作用が絶対にないという薬はありません。
飲まずにこしたことはありませんが、放置すると関節変形がどんどん進み数年で寝たきりになることもあるのです。
薬のリスクより、治療しないリスクの方がはるかに大きいのです。
主治医を信頼し治療を任せ、血液,尿検査,レントゲン検査等の指示があればためらわず受けて頂くことが,副作用を防ぐ上で一番大事だと思います。
診察を受けず薬のみ取りに来ておられる患者さんが一番危険といえます。
【どのような場合に手術を考えるのか】
抗リウマチ薬を使用しても腫れや痛みが強く日常生活に支障をきたす時は、ステロイドの内服や関節注入を行います。
肘関節に限局している場合、スプリントでうまくいかない時は、比較的早期から滑膜切除術を行うことがあります。
肘の滑膜は取りやすく術後成績がよいのです。
膝関節は後方の滑膜が取りにくく成績はあまりよくありません。
通常、侵襲の少ない関節鏡下切除を行いますが無効の場合は開いて切除します。
手、足、手指関節も滑膜切除を行うことがあります。
滑膜切除術は再発率が高く、骨変化が強い時期であれば人工関節にした方が、関節可動域や疼痛の除去の点からも格段に成績が良いといえます。
骨変化が強くなく、部位は限局しているが炎症が強く痛みが激しい時等が一番の適応と考えられます。
滑膜切除は反復して行えますので、人工関節までのつなぎの治療としても施行されることもあります。
近年、根治的多関節滑膜切除術という治療を行っている施設があります。
平均11関節の滑膜を同時期に切除してしまうのです。
炎症を鎮めリウマチの進展を遅らせる効果があるとの報告もあります。
股関節や膝関節といった荷重関節には人工関節置換術が行われます。
日本リウマチ友の会
のアンケート調査では発病後15年で43%が人工関節を入れています。
15分以上歩行が困難になったら手術を考えます。
大事なことは、骨がまだしっかりしているうちに手術をするということです。
リウマチの患者さんはあまり動けませんし、ステロイド等を使用しているので、骨が脆くなっていることが多いのです。
完全に歩けなくなってしまうと骨がさらに脆くなるだけでなく、筋肉等の関節の支持組織も弱くなり人工関節をうまく固定することができなくなるのです。
一般に骨セメントを用いて骨に固定します。
術後の感染は1%くらいです。
関節のゆるみも問題になりますが、これはポリエチレンの磨耗粉が骨と人工関節の間に入り込んで起こります。
最近ではポリエチレンを用いない金属やセラミックのみの人工関節も用いられるようになってきました。
ポリエチレンを用いないと摩擦が大きくなり可動域は減少しますが、年々改良されてきています。
人工膝関節は術後10年で97%、15年で90%が残存しています。
人工股関節は10年で95%、20年で85%くらいです。
以前は60歳以上が適応といわれましたが、再置換もできるようになり、より若年で手術が行われるようになってきています。
足関節は関節固定術が行われることが多く、人工関節の成績は股、膝関節ほどよくありません。
肩関節の滑膜切除はあまり行われませんし、人工関節の成績もよくありません。
頚椎病変は非常に頻度の高いもので、発病10年を超えると6割程度に第一、第2頚椎間の亜脱臼がみられます。
軽い時はソフトネックカラー、ポリネックカラー、重度になるとフィラデルフィアカラーを用います。
環軸関節前方亜脱臼が10mm以上であれば手術を考えます。
首がこりこり音がする、手指の運動障害が強い、しびれがかなり強い等の訴えがあれば7mmくらいでも手術を検討します。
頚椎病変が広範囲であれば、固定も広範囲になりますが、下位頚椎に負担がかかるため、今度はその部位がやられることがあります。
以上手術の適応につきお話しましたが、内科医と整形外科医の連携を密にしておくこと大事だと思います。
これを通じて少しでも多くの人がリウマチについて理解してくれたら嬉しいです
